紛らわしい言葉

「I'm going to 日光 トゥダイ」

 英国人のD君は魚が嫌い。特にツナは苦手だとか。初めてみそ汁を出した時、これは何だー?とばかりクンクンと臭いをかぎ、おそるおそる舌でなめてみて「フィッシーだ」とのたまった。辞書には「fishy-魚臭い・あやしげな」とあった。 肉族と魚族の違い!
 しかし、D君の英語には我々が昔昔中学・高校時代に習ったあの懐かしい英語が聞ける。
時間をいう時、アメリカ人は「Ten thirty」、イギリス人は「Half past ten」。歩道は「sidewalk」と「pavement」。イギリス人の発音は異う。Aは「アイ」と発音する。OKは「 オー カイ」となる。
「I'm going to 日光 today」をアメリカ人が言えば「今日 日光にいきます」 と解釈するが、 イギリス人が言うと「私は日光に、死にに行きます」と解釈して、慌てる。華厳の滝は自殺の名所?だった。
私がテームズ川と言ったらタイムズ川と直してくれた。テームズ川とタイムズ スクウェアを発音してもらったら確かに微妙な異いがあるようだが、別々に聞けば私には区別がつかない。
D君は築地の魚市場に行った時も、腕で鼻を押さえていた。「Fishy!」




びよういんで頭を切る

 日本語がとても上手なW君に、ついうっかり「これからびよういんに行って頭を切ってきます」といった。W君はびっくりして「どうしたの?」と聞いた。「髪の毛が伸びたので・・・」といったら、なあんだーといった。W君は病院に行って頭の手術をするのかと思ったそうである。
病院と美容院 叔母さんとお祖母さん。お若い叔母さんにお祖母さんといっては大変!
牛乳と乳牛、 可愛いと怖い、 花と鼻、 橋と箸まぎらわしい。




おいしそう!

 料理をつくっていると学生が台所に入って来て、おいしそうという。 そう、その「そう」の使い方はとってもいいわよといったら、喜んでこの服は大きそう、この魚はまずそう、外は暑そう、テーブルの上のトマトを見てかわいそうといった。 ストップ! 可愛いそうだけはだめ。
「そう」とはどういう意味か? 実際はどうかわからないが「そのように見える・思う」という意味だ。そうするとおいしそう・大きそう・暑そう・強そう等は実際に食べたり、着たり、外に出てみれば判ることであるが実行する前に感じたことを言う。
 「可愛い」は意味の上で、その語自体に見える・思うという意味が含まれている。だから「可愛い」だけでよい。この「そう」は文法的には接尾語といわれ、他の言葉の後ろに付いてその状態を推量する。「かわいそう」は一語で、形容動詞「かわいそうな人」などと使う。「可愛い」とは意味が違う。



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岩岡 登代子(October 4, 1999)
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# by iwaoka2 | 2001-01-01 23:44 | 言葉のエッセイ

難しい言葉

非」と「不」と「無」

 「この三つの語の違いは?」辞書を調べたが書いている辞書がなかった。
否定を表す語であるが、その違いをみてみよう。


 「非」は非常識・非公開・非合法・非合理・非売品・非常・非凡などのように、後ろの語の意味がもつ枠から外れたという意味である。道理にそむいたり、道にはずれたりというよくないことが多い。非運・非人道的・非俗・非道・非難・非人・非礼などもその例である。


 「不」は不安・不意・不運・不快・不信・不足・不能・不変・不便・不要・不和など「…ない」という打消しの意味である。不安定・不可能・不健全・不親切・不得意なども同じ意味である。最近流行の「不倫」は、辞書には「人倫にはずれること。人道にそむくこと」とある。
「非倫」の方がよいのでは? 道徳的ではないということで「不倫」なのか?


 「無」は無縁・無害・無給・無限・無力など、「有」の字と取って代わることができる。
「有る・無い」の無いで、存在しない意味である。
「無」は呉音はム・漢音はブである。無愛想・無作法・無粋などはブと読む。


 いずれも否定を表す語なので、厳密に使い分けられないこともある。
しかし、「非」には善悪の価値観が多少加わるが、「不」「無」は単なる打消しや存在しないという意味で善悪の意識はない。従って、「不」と「無」のどちらでも使える語もある。
案内・気味・器用・沙汰・作法・調法・風流・用心・様・粋などは、ブアンナイ・ブフウリュウ・ブザマのように全てブがつき「不」と「無」の両方が使える。
 非法(法にはずれること)  無法ムホウ(法にはずれ道理のないこと・乱暴なこと)
 非礼(礼儀にはずれること) 無礼ブレイ(礼儀をわきまえないこと)
 非運(非常なふしあわせ)  不運フウン(運の悪いこと)などは両方使えるが、
意味のニュアンスが多少異なる。



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岩岡 登代子(November 12, 1999)
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# by iwaoka2 | 2001-01-01 23:44 | 言葉のエッセイ

ニックはニックネーム

 アメリカの北部ウィスコンシン州から来た、とても礼儀正しくハンサムなニック。
ある日電話に出たわが家の息子が「ニコラスさんという方はうちにはいません」とのたまっているではないか! 私は慌てて電話をとりあげて「申し訳ございません、ちょっとお待ちください」といって、ニックに替わった。息子はポカンとしている。ニックの本当の名前はニコラスと聞いてびっくりしている。


 このニックネームというのは、日本人にとって分かりにくい。本当の名前とニックネームの例を挙げてみよう。
エリザベス→ベス・リズ、 パトリシア→パット・パティー、 ジェニファー→ジェニー  エドワード→エド・エディー、 ウィリアム→ビル・ビリー、 サミュエル→サム・サミー、 デービッド→デーブ、 ジェームス→ジム・ジミー、 トーマス→トム・トミー、 マイケル→マイク、 マシュー→マット、 リチャード→リック・リッチー
 また、英語とヨーロッパの言語は似ているが少しずつ異っている。
ジーザス クライスト→イエス キリスト、 メアリー→マリア、 ポール→パウロ、マシュー→マタイ、 マーク→マルコ、 ジョン→ヨハネ、 チャールス→カルロス・カール 


 最近ではマイク、ニック、サムが本名の人も多くなってきたとか。
ちなみに、私の友人パットのお嬢さん達リサとアニーは本名だった。


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岩岡 登代子(July 9, 1999)
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# by iwaoka2 | 2001-01-01 23:43 | 言葉のエッセイ

日本製外国語には気をつけよう

 この頃あちこちに日本製外国語が氾濫している。
日本製の食品には、けっこう横文字の名前が多い。
カタカナで止まっていればよいのだが、ご丁寧にアルファベットでも書いてある。これが曲者! 「ブルーベリージャム」は「Brueberry Jam」 「レーズンサンド」は「Raisin Sand」とある。「Brueberry」は「Blueberry」が正しいので、本物のブルーベリーじゃないジャムかもしれない。


 とかく我々日本人にはRとLの区別が難しい。
「パンにしますか?ライスにしますか?」このライスにも気をつけよう。rice は米・ご飯の意味であるが、liceはlouseの複数で虱(しらみ)がたくさんということになる。


 日本人の得意ワザは軽く・小さくすること、英語の単語も長いのはすぐ短くする。
「Raisin Sand」は、干しぶどうの砂?である。 「レーズンサンド」は、「レーズンサンドイッチ」といって初めてレーズンを挟み込んだという意味になる。
「キンキキッズ」のキンキも英語の意味はここに書くわけにはいかないこと。
「カルピス」「ポカリスウェット」も、英語の意味はおいしい飲み物ではない。
横文字にせずカタカナで止まっているので、まあホットしている。
「マンション」も、来日して日の浅い英語のNative Speakerには Condominiumの意味としては通じない。

 「動詞」の本の表紙カバーに「Berb」と書いて印刷してしまった編集者がいた。「Verb」が正しい。



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岩岡 登代子(August 31, 1999)
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# by iwaoka2 | 2001-01-01 23:43 | 言葉のエッセイ

「です」と「ます」

 我々日本人は文法など解らなくても、日本語をしゃべるのには困らない。
言葉は自然に口から出てくる。改めて「です」と「ます」の違いはなにか?と聞かれると即座に答えられる人は少ないと思う。「私は岩岡です」「コンピュータは便利です」「カレーを食べます」「このカレーはおいしいです」「私はカレーが好きです」「音楽会は今日です」「カラオケに行きます」このようにいろいろ使ってみる。「です」と「ます」の直前の言葉を見てみよう。「便利・食べる・おいしい・好き・今日・行く」 この中で、「食べる・行く」は動詞で「ます」がつく。「カレー・好き・今日・おいしい」は名詞や形容詞や形容動詞で「です」がつく。このように、「です」と「ます」はきちんと文法によって使い分けられている。

 これが日本語を学ぶ外国人には難しいようである。
我家にホームステイしたD君、元気よく「行ってきまーす」と出掛けた。夕方帰ってきた時「ただいます」と大声で言った。朝の挨拶は丁寧に「……ます」をつけたのだから、帰った時も丁寧に言った方が良いと思ったのであろう。いつも「おかえり」といわれるので、「おかえり!」と元気よく帰ってくる学生もいた。日本語に自信のない留学生達はどうしても声が小さくなる。毎日同じことを大きな声で言うと、だんだん慣れて上手に話せるようになる。



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岩岡 登代子(July 1, 1999)
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# by iwaoka2 | 2001-01-01 23:42 | 言葉のエッセイ