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「フンベツ」と「ブンベツ」

 「フンベツ」と「ブンベツ」はどちらも漢字で書けば「分別」である。
「フンベツ」は仏教用語からきた言葉で難しい。
心の働きが対象を思惟し計量すること。知識による理解。または誤った理解、認識としての凡夫の妄分別にもいう。(小学館スーパー・ニッポニカ)  
考えること。思案をめぐらすこと。世間的な経験・識見などから出る考え・判断。(広辞苑)といわれている。
「分別のある大人」などと言われるが最近「分別のない大人」が増えて嘆かわしい。
無差別殺人・ストーカー殺人・放火等無分別な大人が多くなった。

 「ブンベツ」は「ゴミの分別」のように、種類によって分けること。
文字は同じでも、清音と濁音で意味が大きく異なる。
# by iwaoka2 | 2008-10-10 23:56

助詞「に」「へ」「で」「から」 

 助詞は話を正確に伝える役目がある。
「今行く」 すぐに行動を開始する。
「今行く」 何時行ってもよい。
「A君だけ話す」何人かいる中で、A君一人を選ぶ。  
「A君にだけ話す」B君C君D君など他の人を除外する。A君に限定。 
「駅行く」 駅という場所が目的。
「駅行く」 駅の方向を指す。
「庭花を植える」 花を植える場所をいう
「庭花を植える」 花を植える作業をいう
「酒は米から造る」 材料を変化させて作る。もとの材料の形が残らない。
「おむすびはご飯作る」 材料の形がそのままである。
我々は日常このような微妙な違いを理解して話をしている。
# by iwaoka2 | 2008-09-15 23:59

「日葡辞書」 

 日本に最初に入ってきた外国語は漢語であった。
その頃の日本は、文字がなかったので本もなかった。そこに六世紀半ばに仏教と共に漢字と漢字で書かれた書物が入ってきた。大変なカルチャーショックであったろう。漢字と漢語を懸命に学び、万葉仮名も作り出された。
平安時代初めには、平仮名や片仮名ができた。
現存する我が国最古の漢字辞書は、空海(弘法大師)によって編纂されたと言われる「篆隷万象名義テンレイバンショウメイギ」八三○年(天長七)以後成立がある。
その後、昌住によって編纂された漢和辞典が「新撰字鏡」(898年~901年頃成立)である。
平安末期には、編者未詳の「類聚名義抄」が作られた。
漢和辞典はいろいろ作られた。

その他の言語の辞書は意外にもポルトガル語の辞書が最初である。
日本に最初にやってきた宣教師はスペイン人のフランシスコザビエルである。彼は日本人を「今まで出会った異教徒の中で、もっとも優れた国民」「日本人は外見で人を判断する」等と日本人の観察はすばらしい。
その後やってきたイエズス会のキリスト教宣教師によって、「日葡辞書」が作成された。日葡辞書は、日本語に通じた数名のバテレン(神父)とイルマン(修道士)の協力で作られた。ポルトガル式のローマ字で日本語の見出しをつけ、ポルトガル語で解説した辞典である。総語数は約32000。1603年-1604年にかけて長崎で発行された。室町時代末期~安土・桃山時代の日本語の音韻がよく分かる史料でもある。
ちなみに奈良時代は万葉仮名で書かれた文章は、その漢字の発音を中国の発音と比較すれば分かる。そのことから古い日本語には母音が八つあったことが分かった。
「キフィミケフェメコソトノモヨロ」のi e o には、甲類と乙類の二種類の漢字が書き分けられていた。平安時代にはその区別がなくなった。
万葉仮名では「い・ゐ」「え・ゑ」の区別がきちんと書き分けられていた。いろは歌でも区別がある。
その頃の日本語のハ行音がF音であったことなども分かった。
日葡辞書の頃のハ行音もF音であった。

平安時代には仮名文字がつくられ、文章を書き易くなった。しかし、まだ濁点や半濁点などは出来ていなかった。そのためある単語が清音か濁音か区別がつかない。
日葡辞書はポルトガル式のローマ字で日本語が表記されているので当時の発音が正確に分かる。「カca キqi クcu ケqe コco」「サsa シxi ・・・・」「ハfa ヒfi ・・・」ヤ行やワ行は今とほとんど同じである。濁音や半濁音の表記もある。 
当時の生活習慣や風俗、よく使われた語句等当時の日本がよく分かる。又、当時の標準語である京言葉と九州の方言や東言葉についても説明がある。
日本語の研究者にとって貴重な書である。 
# by iwaoka2 | 2008-08-15 23:53

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 「フンベツ」と「ブンベツ」 [2008-10-10]
 助詞「に」「へ」「で」「から」 [2008-09-15]
 「日葡辞書」 [2008-08-15]
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# by iwaoka2 | 2008-08-15 23:52 | 目  次

生と死 「胞衣エナ」

 人は母の胎内からオギャーと生まれ出てくる。その時、後産と呼ばれる胎児を包んだ膜と胎盤が娩出される。それを「胞衣エナ」という。
人はあの世から、この世に生まれてくるのである。胞衣はあの世の名残であるといわれている。
人は一生を終えて、あの世に逝くのである。仏教で言う他(の世)界である。
この胞衣は自宅でお産をした頃は、大切に扱われていた。
今では、病院から退院する時に、乾いた「へその緒」が渡されるだけである。

 「胞衣は胎児の生育にとって不可欠のものであり、古来、いろいろな民間習俗、信仰の対象とされてきた。
この胞衣は地中に埋めるのが一般的だといわれている。
昔は産小屋を作り、そこでお産をし、胞衣は壺に入れて、丁重に地中に埋めた。地中に埋めるのは、赤子が地中から生まれ出てきたから、地中に胞衣を返すという考えからである。エナと生児の成長の関係は、その延長上として死の観念でも表出する。人は死ぬと又土に返る。
  
 その時、生まれた子供の健やかな成長や幸せを祈って、いろいろな物をいっしょに入れた。埋める場所は、人によく踏んでもらう所(土間の上がり框カマチや敷居の下等)と、踏まない所(産室の床下、便所や厩ウマヤのそば、墓等)の2通りがある。男女によって埋める場所やいっしょに埋める物が異なる場合もある。
胞衣は世界の諸民族を通じて、その扱い方しだいで生まれた子供の一生を左右すると信じられている」小学館スーパーニッポニカ より 
# by iwaoka2 | 2008-07-20 22:25