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故障中

 最近「故障中」の張り紙が、トイレや自動販売機に貼られている。何かちょっとおかしい。
「財布が落ちている」でも述べたように、日本語の動詞には普通の動詞と瞬間動詞と呼ばれる動詞がある。これは時間の長さから、動詞を分けたものである。「食べる」「休む」「流れる」「座る」等の普通の動詞は、時間的に幅がある。これに対して、「落ちる」「撃つ」「知る」「折る」等は、一瞬の出来事を表す動詞である。このような動詞を瞬間動詞という。
「食事」「勉強」「故障」「骨折」は名詞であるが、動詞形は「…する」をつける。
「食事する」「勉強する」は普通の動詞であり、「故障する」「骨折する」「結婚する」「離婚する」は瞬間動詞である。
「食事中に携帯電話で、メールを送る」「勉強中と言って、漫画を読む」のように、普通の動詞の名詞形には「…中」をつけてもおかしくはない。食事や勉強は時間的な幅があるから。しかし、故障や骨折は一瞬の出来事でおしまい。
普通の動詞に「…ている」がつくと、「…中」と同じ意味になる。「勉強している」は「勉強中」「入院している」は「入院中」となる。しかし、瞬間動詞に「…中」をつけるとおかしい。「骨折している」は骨折して、まだ快復していないことを表す。「骨折中」は、骨折の結果が継続していることまでは表わさない。日本語としてはおかしい。和語の「…ている」は漢語の「…中」に比べて、意味の範囲が広い。
「睡眠中」「恋愛中」「休暇中」といえるが、「離婚中」「売り切れ中」「誕生中」「死亡中」はおかしい。「…中」は時間に幅がある意味をもつ名詞に使う。
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by iwaoka2 | 2004-07-31 23:26 | 言葉のエッセイ