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青と緑

 ニュージーランドから仕事を求めてやってきたD嬢、語学スクールで英会話を教えたいと何度か面接に出掛けた。しかし、なかなか決まらなくて不安になってきた。そこで私は慰めた。日本人が考えるガイジンのイメージは「ブロンドヘヤーにブルーアイズ」。貴方はその通りだから大丈夫よ。一瞬喜んだ彼女「オー ノー、私の眼はグリーンなの」と言う。日本人は信号も眼の色も「青」と言うが「緑」とは言わない。英語のグリーンも必ずしも日本語の緑ではない。二週間後、D嬢はめでたく語学スクールで英会話を教え始めた。
 日本人はブロンドヘアーにブルーアイズであれば喜んで高額の月謝を払ってくれる。中には、自分はブロンドヘアーにブルーアイズ、身長185センチだから、月謝は一時間五千円以上!という外国人もいるとか。それ以上に優秀で親切な外国人でも、アジア系の顔をしていると採用の時あまり歓迎されない。人間は外見ではなく中身が大事なのに。

 日本語では青りんご・青桐・青葉・青草・青梅・青海苔・青汁・青大将などというけれど、実際は緑色をしている。広辞苑の青の項には(一説に、古代日本語では、固有の色名としては、アカ・クロ・シロ・アオがあるのみ。…… また、ある語に冠して「若い」「未熟の」の意を表す語)とある。
 古い日本語では、緑は青の一部であった。青りんご・青葉・青梅・青田(刈り)等は緑色をしているし、「若い」「未熟な」という意味もある。青二才が青息吐息でホームページを書いている。
緑の黒髪は、つやのある美しい黒髪。緑啄木鳥アオゲラは、きつつきの一種。緑鳩アオバトは、はとの一種で体は緑色。青毛アオゲの馬は、灰色がかった白色をいう。

 英語をみると、blue Monday のブルーは「憂鬱な」、blue film のブルーは「わいせつな」、英語のブルーにはあまりよい意味がなさそうである。一方 green には日本語の青と同じように、若い・新鮮な・元気なという意味があり、in the green は「血気盛んな」という意味である。



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岩岡 登代子(December 12, 1999)
by iwaoka2 | 2001-01-01 23:45 | 言葉のエッセイ
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