「方」

カードで買い物をすると、店員に言われる。「カードの方、お返しします」レストランでは「メニューの方、お下げします」という。この「ほう」とはもともと、どういう意味か。「西の方に寺がある」「安い方がいい」「酒よりビールの方が好だ」二つ以上比べるものがある時に、使われる。「カードの方お返しします」の場合、返すものはカードだけであっても「方」を使う。「方」のもう一つの意味に、話題のものをぼかしていう言葉とある。「経理の方をやっています」「(自動車の)修理の方をやっています」これは、「経理をしています」「修理をしています」でもよいが、自分の事を遠慮して少しぼかしている表現である。カードやメニューの場合、ぼかす必要はない。「カードをお返しします」「メニューをお下げします」の方が分かりやすくてよいと思う。

 消火器の訪問販売で、「消防署の方から来ました」といって高い値段で消火器を売りつける商法があった。「消防署から来ました」といえば詐欺になるが、「消防署の方から来ました」といえば嘘ではない。消防署の近くから来ればよい。「方」には気をつけよう。
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by iwaoka2 | 2001-08-05 23:40 | 言葉のエッセイ
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