「言った」「言わない」の議論 

 外務大臣と外務官僚を巻き込んだ政治家の泥まみれの争いで、「言った」「言わない」の議論が繰り広げられた。日本人は「言った」の「言わない」のと騒いでも、その言い方に疑問をもつ人はいない。
英語圏の人なら、どうして「言わなかった」とテンスを両方とも過去形にしないのかと不思議に思う。

 日本語にはテンスがないとよくいわれる。日本語には過去形はある。その過去形が問題である。
「言った」の「た」は過去形ではあるが、完了も表す。
「勉強をした」「家に帰った」「ご飯を食べた」のように、完了の意味がある。
完了形は、はっきり表に現れたことを指す。これに対して「言わない」は現在形ではあるが、未完了や未確認ををあらわす。今は言っていない(事にする)が、今後はわからない。ちょっと後ろめたさを含んだ玉虫色の表現である。我々は事実を分かった上で、今は、はっきりできない事として「言わない」といっているのである。まだ目の前に現れた事実ではないから、未確認だと言っているのである。
「言わなかった」は完了形で、事実がはっきりしておしまい。
[PR]
by iwaoka2 | 2002-02-17 23:36 | 言葉のエッセイ
<< 「日韓」か「韓日」か  漢語-1 >>