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~させていただく

日本語は前にも述べたように、少しの違いが大きな意味の違いを表す。
「私が行く」 何人かの人の中から、自分一人行く
「私は行く」 他の人はどうか知らないが、自分は行く
「私も行く」 他の人が行くのに合わせて、自分も行く
「私と行く」 他の人が自分と一緒に行く
 このように、たった一字でかなり意味が異なる。

 最近バカ丁寧な表現が多いが、意味が異なることもある。
「~させていただく」
「素晴らしい経験をさせていただきました」は普通の言い方である。
「○○高校を卒業させていただきました」は成績がよくなくて、お情けでどうにか卒業したともとれる。自分の実力で卒業なら「卒業しました」でよい。
「いただかせていただきます」「美術館でゴッホの絵を見させていただきました」駅では「ドアを閉めさせていただきます」と「~させていただく」の氾濫である。

「~てあげる」
「姉に本をあげる」は普通の言い方である。「犬に餌をあげる」は、かなり多くの飼い主が使っているがおかしい。人の上下関係によって、「あげる」と「やる」は使い分けられている。
「手伝ってあげる」「宿題を見てあげる」「電話をしてあげる」「お客様の要望に応えてあげる」は「あげる」がついている。しかし、ちょっと押しつけがましい、又は、仕方なくやるという感じがある。「動作動詞+てあげる」には、注意が必要である。
「野菜の水分をよく拭き取ってあげて」「花を植えてあげて」「水槽の水を換えてあげて」等、野菜や花や水槽に「あげて」は必要ない。「過ぎたるは猶(ナオ)及ばざるが如し」という諺もある。
by iwaoka2 | 2005-05-01 23:24 | 言葉のエッセイ
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