「不退転の決意」 

 六世紀半ば迄、日本には文字がなかった。仏教と共に漢字が入ってきて、漢字の音を借りた万葉仮名が使われ、古事記(変体漢文)や万葉集が編纂された。日本書紀は漢文体で書かれた。大和言葉にはまだ政治や経済の用語もなかったので、漢字と共に漢語が使われた。そのため学問とは漢語を学ぶことであった。
万葉集の最終歌は759年である。その後905年に古今和歌集が編纂されるまでの間、和歌は姿を消した。漢文全盛の時代であった。
和歌に替わって「懐風藻」(751年)「凌雲集」「文華秀麗集」「経国集」などの漢詩集が多く編纂された。後の三つは9世紀の勅撰集である。
平安時代初期に平仮名が作り出されて、和歌や文学が盛んになった。しかし、男性は漢語と漢字を用い、日記や公文書は漢語で書かれた。
その後も政治・経済用語は漢語が多く用いられている。
最近ではその漢語が分かりにくいため、分かり易い日本語になってきた。

 政治家は漢語がお好き。何故漢語を使うのか?漢語を使うと知的で意味が分かりにくい。その曖昧さが好都合。「不退転の決意で臨む」と言うがどんな決意なのか?
「不退転」とは、
「志をかたく保持して屈しないこと(広辞苑)」  
仏教用語で、「退くことのない位。仏道修行の過程で、既に得た功徳を決して失うことがないこと。いったん達した位からあともどりしないこと」(仏語辞典)
位は地位である。今の地位や利権を決して失わない決意ともとれる。
正直な気持ちであろう。
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by iwaoka2 | 2007-06-10 22:01
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